2. 家賃
固定費の中でもっとも幅を利かしているもの、家賃。我が家の場合1ヶ月で€1500です。
家賃タイプは以下の2つのうち、光熱費別(Exclusive:エクスクルーシブ)です。
【オランダの家賃】
・光熱費込みタイプ(Inclusive:インクルーシブ)
・光熱費別タイプ(Exclusive:エクスクルーシブ)
⚠️その他、サービスコスト、不動産システム利用料、家具代金(家具付きタイプの場合)など、家のタイプや不動産会社によって別途料金が家賃に含まれるケースもあります。
家は何軒かの家がつながったローハウスと呼ばれるタイプで、人口第2位の都市ロッテルダムの郊外にあります。
家具付き3階建で庭付き、最寄り駅まで徒歩10分以内、スーパーまで自転車で5分ほど。近くには小学校があり、緑が多く静かで落ち着いた場所です。
ロッテルダムの中心地まではメトロ(地下鉄)で20分弱かかります。
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ローハウスタイプの住居
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郊外とはいえ、この条件で€1500はロッテルダム地域においてはまずまずの好条件かと。
ちなみに、オランダの主要な都市と言えば、首都アムステルダム(Amsterdam)、デン・ハーグ(Den
Haag)、ユトレヒト(Utrecht)、エイントホーフェン(Eindhoven)などが挙げられ、地域によって平均家賃は異なります。
参考までに、オランダの不動産大手会社パラリウス(pararius)が2023年下半期に公開したデータを貼っておきます。
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【5つの主要都市の平均家賃の推移】 ※「1㎡の家賃」を地域ごとに平均化して算出したグラフ
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さてここで、家と言えば大家がつきもの。ボクたちの名物粋大家マウスは、それはもうすばらしく変人で良い人で、彼にはこの1年かなりお世話になりました。
出会った時から彼は普通とはどこか違うと気づいていましたが、なかなか他の人に話す機会がありませんでした。しかしここ最近誰かにマウスの話をするとそのたびに笑われ驚かれ、ちゃんと変な人認定をもらっています。よかった、ちゃんと変な人です。
一般的な大家像からはかけ離れていますが、気になる方がいれば以下の記事ものぞいてみてください。(オランダで一般的とされる家のタイプについてもまとめています)
3. 光熱・水道費
□光熱費
オランダでは基本的に光熱費(電気・ガス)の契約を一つの会社と結びます。我が家はVattenfallという、オランダでは大手に入るエネルギー会社を利用しています。
契約直後は「前の居住者の使用量」をもとにした光熱費を請求されます。支払いシステムも日本とは違い、毎月の使用量に基づいた光熱費を支払うのではなく、毎月定額を支払います。
そのため、前の住人がかなりの節約家であれば光熱費は少なくて済みます。逆に、子どもが3人おじいちゃんおばあちゃんも一緒の3世代またぎ大家族だったりすると、それなりの額を請求されます。
そして契約から1年が経つころ、1年で支払った額に対して、実際に使用した電気ガスの量が多いか少ないかを判断されます。
要するに「アンタそんなに使ってないのお金払いすぎやねん」と言われるか、「アンタめっちゃ使ってるのにお金足りてないねんけど」と言われるのかの2択です。
我が家はローハウスタイプの3階建て。部屋数やリビングの広さなどからして子どものいる世帯向けです。
かつ、移住当時はヨーロッパ全域がロシア・ウクライナ間の戦争の影響をモロに受けており、天然ガスの入手が難しいという理由で光熱費が異常に高騰していたこともあり、契約直後の請求額は€366でした。
(移住当時2022年末は€1=140円前後だったため光熱費としての出費は約50000円)
ただし、これはあくまでも契約初期の請求額のハナシです。
契約している会社から数ヶ月に1回のペースで電気・ガスのメーターを提出するよう求められ、このタイミングで毎月の請求額が変わることもあります。また、会社によってはマイページで毎月の請求額を自ら変更することも可能です。
※【1. オランダの生活費まとめ】の図には、請求額の変更依頼が認められたあとの光熱費(€166)を載せています(請求額の変更依頼は下限あり。当時は€166。)
□水道代
光熱費と同じく毎月定額を支払います。
地域ごとに決められた水道会社と契約を結び、地域によって水道水に使われる水の種類が違います。例えば、アムステルダムとロッテルダムでは水道水の成分や硬度が異なります。
我が家があるロッテルダム周辺ではEvidesという水道会社と契約を結びます。
※厳密に言うとEvidesは年10回払い
参考までに我が家の水の使用頻度を載せておきます。
・バスタブがないためお風呂は基本シャワーのみ
・冬場(11月〜2月の間)の入浴はだいたい2日に1回
・洗濯は2〜3日に1回
・食洗機は全く使わない
・外食はほとんどせず自炊中心
1€=155円(【1.オランダの生活費まとめ】の図参照)として計算すると€16=2480円。二人暮らしかつ毎日自炊している割には安いなと感じていましたが、例のごとくこちらも1年間の使用量と支払い額のギャップを計算するシステムです。
4. 食費
食費として計算しているのは以下の3つです。
⚪︎自炊用に買う食材
⚪︎仕事があるときのお昼ごはん
⚪︎外食
我が家はほとんど毎日自炊生活。
朝はシリアルを牛乳で流し込み、仕事がない日のお昼は大体パスタを作り、夜は2〜3品を目安にしっかりめに作る。これが1日の献立です。
仕事の日は職場近くのスーパーでパンを2個ほど。決まってクロワッサンとパンオショコラを買います。「選ぶの面倒くさいな、とにかくチョコが食べれたらあとは何でもいいや」というカカオ依存と惰性によって選ばれたパンたち。値段は合わせて90セント、驚愕の安さです。
自炊の頻度は日本にいた頃とさほど変わりないと思うのですが、自炊意識はさらに強まった気がします。というのも、オランダにはファミレスやラーメン屋などの安くてお腹いっぱいになるようなお店がほとんどありません。
「速い!安い!」が売りのファストフード店は「速いけど安くはない」のです。
マクドナルドのビッグマックはオランダ全土で平均13.5ユーロ。同じお店なのになぜ平均なのか。地域によって給料や家賃の相場が異なり、それに合わせて商品の値段も変わっているからです。
例えばロッテルダムでは9.75ユーロなのに対し、東部のヘンゲローやエンスヘーデでは15.05ユーロとかなりの価格差があります。
ということで外食と言ってもあまり食べることはせず、主に飲んでいます、コーヒーを。
「食す」という行為を含む外食は月に1回もあるかないか、その程度です。
5. 日用品
Actionはヨーロッパを中心に11カ国で展開されているディスカウントショップで、イメージは日本で言うところのドン・キホーテみたいな何でも屋です。
キッチン用品、文房具、生活雑貨、寝具類、掃除用品など品揃えバツグン。€1以下で買えるものもあります。2023年11月にスペインのマドリードにできた最新の店舗を含め、現時点で2500店舗あります。
公式サイトではオンラインショッピングも可能。
ちなみに、Actionが提供している専用アプリを使うと、安売り価格の商品をより簡単に見つけることができ、お買い物のたびに最大50ユーロ分のギフトカードがもらえるチャンス*があります。
*2024年1月19日から開始。お会計時にアプリ上のカスタマーカードをスキャンしてもらうことでスクラッチ券がもらえる。要アカウント作成。詳細は以下のリンクから。
アプリのダウンロードはこちらから▼
定期的に必要なものはトイレットペーパーとキッチンペーパーくらいで、月に1回くらいのペースで買っています。ティッシュを売っている場所はそもそも少なく、しかも割高なので我が家では代わりにキッチンペーパーを使っています。
洗剤、シャンプー、リンス、美容関連(保湿クリームなど)などは2〜3ヶ月に1回くらいとまちまちです。
6. 通信費
□携帯
夫婦ともにLEBARAという通信会社を利用しています。
【月額料金】
妻 €9〈プラン:5ギガ/月〉
ボク €8〈プラン:3ギガ/月〉
計 €17
オランダではメトロや電車、飲食店など割とどこでもWi-Fiを使うことができるので、少ないギガ数のプランでも充分生活していけます。
⚠️Youtube・Tiktok・インスタなどのSNSはほとんど見ず携帯をあまり触らない人間の感覚です
ちなみに、最初にLEBARAと契約するとき、ボクも妻も定額契約プランを選びました。これは簡単に言うと「なぁ兄ちゃん、2年間使うたるから割引してやぁ」ということです。
適用される期間は契約してから6ヶ月間、割引率は驚異の50%だったので、最初の6ヶ月は実質€4でした。
□自宅
Ziggoというオランダの通信会社を利用しています。ありがたいことに元々Wi-Fiがつながっていて、ご丁寧に家の各階にルーターまで設置されてありました。
そしてなんと、費用は大家さんが負担してくれています。この1年、生活に関する細々したコト・モノは大家さんにお世話になりっぱなしでしたし、どうやらオランダの家探しでビギナーズラックを発揮していた模様です。
7. 交通費
我が家には車がなく、近場へは自転車か徒歩、遠出のときはメトロ(地下鉄)を使います。
ただし、ボクは家大好き人間なのでそもそもあまり移動しません。加えて太陽嫌い人間なので、暗くなるまではなるべく家を出たくありません。しかし、暗くなったら暗くなったで、あぁなんか、もう一日終わるし、そろそろ晩ごはん作る時間だし、まあいっか、という塩梅で、前もって計画していた外出の予定は中止となります。
コロナウイルス蔓延の只中、某都知事がステイホームステイホームと連呼するその前から、天性のステイホーム人間だったわけです。
なので、遠出と言ってもメトロに乗れば20分ほどで着くロッテルダム市内に行くくらいです。
その割に交通費に€271(約40000円)もかかっているなんて、けったいなこった。そう、けったいなんです。夫婦の片われは滅多に家を出たがらない家大好き人間であるにもかかわらず、交通費がべらぼうに高い。
その理由は至ってシンプル。そもそもオランダの交通費がべらぼうに高いからです。
ヨーロッパの中でも随一です。
と聞いて、ま、そりゃあ国が違えば違いの1つや2つはあるだろうと納得するにはまだ早く、実はこの€271、できる限り交通費を安く抑えた上での金額なのです。
ちなみに、オランダ国内を効率良く移動するのに欠かせないのが、OV-chipkaart(オーフェーチップカート)という、日本で言うところのSuicaやPASMOのようなカードです。
オランダの公共交通機関をまとめた以下の記事で詳細を解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。(ロッテルダム地域についてのみローカル目線でかなり掘り下げています)
8. 保険費
【夫婦2人の保険費の内訳/月】
妻 €119
ボク €140
計 €259
オランダでは国内に居住している場合、保険の加入は義務です。
民間の健康保険会社が提供しているさまざまなプランの中から、自分のニーズや状況に合わせたプランを契約する【個人保険】が一般的ですが、所属している会社・組織・ジムなどを通して【団体保険】に加入することも可能です。
夫婦ともに個人保険に加入していて、ボクは歯科治療のオプションを付けた分保険費が高くなっています。
オランダ到着1週間あまりで歯の詰め物が取れ、そのまま紛失、歯に穴が空いたまま半年以上過ごすという事態に陥っていたため、歯科治療のオプションを追加することにしたのです。
オプション内容は【500€までの治療費(初回受診料含む)の100%をカバーする】というもの。
初めての受診で「詰め物を作り直す以外にも虫歯を治療せんといかん」と言われ、計4回も通い、すべての治療が終わってみれば、結局€500くらいかかっていました。オプションでカバーしていた分をすべて使い切ることになりました。
なお、保険の見直し(保険会社の変更)ができるのは12月中で、1年に1回この時期のみです。
とはいえ、保険会社の数が多く、それだけプランの数も膨大なオランダで、もそもそも何を基準に選べばいいの?という不安を抱える人も多いはず。
以下のリンクから【保険の見直し時に重要な3つの洞察】について書かれた記事*が読めますので、よければチェックしてみてください。
*2024年に向けた保険の見直しについての記事
保険の見直しには比較サイトの利用もおすすめです。
上の記事内で紹介されている、英語対応で移民に向けた保険情報もまとめてあるサイトのリンクを貼っておきます。
9. その他(税金・経費・交際費・趣味)
① 税金
オランダには、【廃棄物税】・【水道税】・【道路利用税】といった日本では聞きなじみのない税金が存在します。税金の種類は地域によって細かく異なり、基本的には1年に1回、自治体からの手紙で請求されます。
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ロッテルダムの税金(2023年) |
□廃棄物税
廃棄物税は世帯人数によって請求額が異なります。
⚪︎1人世帯:€296
⚪︎2人世帯:€354.6
⚪︎2人以上世帯:€383.9
□水道税
水道税は、水道利用に対する税金と水道の浄化に使う税金の2種類をもとに計算されます。
※1月1日時点で住んでいる家に対して徴収。同年に引っ越しをした場合はすでに請求された額を支払い続ける。引っ越し先の水道税は次の年に改めて計算されるまで支払う必要はない。
⚪︎水道利用に対する税金:€131.81/年
⚪︎水道の浄化に使う税金:€227.97/年
浄化に使う税金は、世帯人数によって徴収される税金が変わります。
⚪︎1人世帯 :€75.99
⚪︎2人以上世帯:€227.97
我が家の2023年の水道税は年間合計€359.78。5月から12月までの間に8回、毎月€44.97を支払っていました。
※家の所有者には(持ち家に住んでいる場合は)さらに【固定資産税】と【下水道税】が請求されます。
□道路利用税
市街地以外の道路や自転車道(国道・地方道除く)-オランダには都市部郊外問わず自転車専用の道路があります-の維持・管理のための税金です。
② 経費
事業のために使うお金は経費としています。
経費として計上しているのは以下の3つです。
⚪︎一部の食品
⚪︎調理用の機器・機械
⚪︎交通費の一部
経費計上できる支出の種類は、KVK(商工会議所)に登録している業種によって異なります。
また、経費が全額控除になるか一部控除になるかは、支出の種類によって異なります。個人事業主としてオランダにお住まいで会計士さんと契約している場合は、彼らを質問攻めにすることをおすすめします。
③交際費/趣味
週末にマーケットに出かけたり、アンティークショップで古物を漁ったり、映画を観たり、我が家ではそんなようなことに使うお金を【交際費/趣味】の費用としています。
ただ、遊ぶといっても誰かの家で夕飯をご馳走になったり、逆にご馳走したりと、今のところ「家で一緒にごはんを食べること」がメインです。
たとえ都市部であっても5時とか6時くらいにはけっこうな数のお店が閉まっているオランダ。飲食店も例外ではありません。飯より酒、という面構えのお店やバーなどは夜遅くまで営業しているところもありますが、ほとんど行ったことがありません。
日本にいたころと比べて交際の中身が日常の延長線上にあって、特別お金を使う機会があまりないというのが、今のところの所感です。
さらに、交際にあまりお金がかからない別の理由があります。それは「お酒」です。
例えばムスリムの友達と遊ぶとき、家でご飯を食べるにしろ外食するにしろ、一緒に過ごす時間の中に「お酒」という要素は存在しません。宗教上のタブーとされているからです。
元々お酒があまり強くないボクからしてみれば、出費が少なくて済むという理由だけではなく、ある種合法的にお酒を飲まなくても許される環境に居れるという意味でも、とてもとても気楽です。
また、つい最近「あるモノ」を手にしてから映画を観る回数が増えました。映画好きの人間にとってお宝のような存在です。ロッテルダムを存分に楽しむのに一役買ってくれているこの「あるモノ」については、また後ほどまとめようと思います。
10. まとめ
オランダでの生活費について、ユーロ円の価値の差を無視して(1€=100円として)考えると
【日本と比べて安い】
⚪︎食料品
⚪︎通信費
⚪︎交際費/趣味
【日本と比べて高い】
⚪︎家賃
⚪︎交通費
⚪︎光熱・水道費
⚪︎税金
そして、日本と比べると総合的な生活コストは高いと個人的には感じています。
1€=¥160円前後の現状では、ユーロを稼ぐならまだしも、日本円を稼いでユーロに替える生活は大変だと思います。
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【交際費/趣味】は個人差が出るところだと思うので人によって大きく変わるかもしれません。
しかし、オランダには商業施設がたくさんあるわけでもなし、夜遅くまで開いているお店が多いわけでもなし、そのうえ冬は寒いし雨がよく降るので夜遅くまで外出する気にはならないしで、日本よりかは資本主義の誘惑が少ない国だと思います。
【家賃】は、住んでいる場所がシェアハウスなのか、戸建てかマンションタイプなのか、光熱費込みか否かなどのさまざまな条件によってかなりの差があります。
これに関して言えば日本でも地域によってかなりの差があるので一概には言えませんが、日本と比べると全体的に高い印象です。(そもそもオランダは慢性的な住居不足問題によって家賃が高騰しているので)
【公共料金】は、日が長くなる夏はなるべく夜遅くまで電気を点けない、冬は家でも厚着をするなどすればかなり抑えることができると思います。
【税金】に関しては、種類が多くそれぞれ割と高い額を請求されるので日本で生活するよりも出費がかさみます。
オランダで上手いこと生活していくためには、まあ日本でもほとんど同じですが、固定費・移動費削減、これに尽きます。
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とりあえずは、自転車で市内まで出れる割安物件を探すところから始めてみましょうか。
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