2. 鉄道
オランダ国内で(主要)大都市間を移動するときに利用します。
NS = Nederlandse Spoorwegen(オランダ鉄道)と呼ばれています。
鉄道=新幹線
メトロ=電車
東京から愛知まで行くときのような県をまたぐ長距離移動には新幹線、愛知についてから目的地まではローカル線を利用する
みたいな感覚で「鉄道」と「メトロ」を使い分けます。
「県をまたぐ」と言うと大袈裟に聞こえますが、オランダは九州ほどの大きさしかないため、実際には移動にかかる時間は日本より短くて済みます。
【NSの特徴】
◾️ピークアワー/オフ・ピークアワー
◾️急行と各駅停車
◾️課金車両と一般車両
◾️利用時の注意点
◾️ピークアワー/オフ・ピークアワー
オランダにも日本で言うところのラッシュアワーであるピークアワー(混雑時間)が存在します。
NSではその時間帯をきっちり示していて、ピークアワー以外の時間帯はオフ・ピークアワーと呼ばれます。
⚪︎ピークアワー
・平日 6:30〜9:00/16:00〜18:30
⚪︎オフ・ピークアワー
・平日 0:00〜6:30/09:00〜16:00/18:30〜24:00
・土日 全時間帯
・祝日
◾️急行と各駅停車
NSの電車の種類は以下の2つです。
NS Sprinter(各駅停車)
青と白の車体が目印のNS Sprinterは路線上の各駅に停まります。短距離の移動や、目的地が主要都市ではない場合などに利用します。
NS Intercity(急行)
青と黄色の車体が目印です。主要都市やある程度大きな都市にしか止まらないので、中・長距離の移動に適しています。
利用する際は乗車券とは別に【NS Intercity 利用チケット】を購入する必要があります。チケットは駅のホームや券売機、オンライン上で購入できます。
チケットの種類は以下の3つで、自分の都合や状況に合ったチケットを選べます。
① 1回チケット
② NS Flex season ticketとの組み合わせ
③ 1ヶ月チケット
① 1回チケット
NS Intercityを不定期で利用する人には1回チケット(片道用・往復用あり)がおすすめ。
ホームにあるチケットポータルにOV-chipkaartをタッチして購入することができます。
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チケットポータル
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片道分の料金は€2.9*で、オフピークアワー(混雑していない時間帯)に利用する際の料金は€1.74*(40%オフ)です。
*執筆時(2024年3月時点)の料金は上の画像撮影時より値上がりしています
② NS
Flex season ticketとの組み合わせ
ピークアワーに週3回以上の往復利用をする場合におすすめです。
NSには、利用者に合わせてフレキシブルなサブスク商品(=season
ticket)を販売する【NS Flex】というサービスがあります。
例えば、NS
Intercityの利用が「オフピーク中心の人向け」、「週末中心の人向け」に「割引価格で利用できるサブスク商品(=season ticket)」などがあります。割引率やサービス適用期間についても、利用者の状況に合わせて種類はさまざまです。
NSのWebサイトでアカウント登録後、【Mijn NS(マイページ)】内で【Altijd Toeslagvrij】という商品を買うことで、以下にある特定のseason
ticketと組み合わせてお得に利用できます。
【Altijd Toeslagvrij】と組み合わせ可能なseason ticket
・Altijd Vrij (Always Free)
・Traject Vrij (Traject Free)
・Dal Vrij (Day Free)
・Weekend Vrij (Weekend Free)
ただ、フレキシブルなのは良いことですが、少し度が過ぎていて若干頭を悩ませてしまうほどサービスが細分化されています。すべてを書き出すとそれだけでかなりの量になってしまうので、今回の記事では割愛します。
詳しく知りたい方は、以下のNS
Flexのサービス内容説明ページをチェックしてみてください。併せて、オフ・ピークアワーに焦点を当てた割引適用の詳細がまとめられた記事も載せておきます。
③ 1ヶ月チケット
ピークアワーに週4回以上の往復利用をする場合におすすめです。
料金は€84.2で、購入してから1ヶ月後に自動でチケットの効力が切れます。
NS用券売機もしくはOV-chipkaartのWebサイトで購入できます。
⚠️NS Business Card、NS Flex season ticketとの併用不可
◾️高級車両と一般車両
NSの車両は1st Classと2nd Classにクラス分けされていて、高級車両である1st Classに乗る場合は追加金が必要です。
1st Classへのアップグレード方法と料金は、season
ticketの有無や持っているOV-Chipkaartの種類によって異なります。以下の記事でそれぞれの詳細がチェックできます。
◾️利用時の注意点
NSを利用する際、ほとんどの場合日本にあるような改札を通らなくてもホームまで行けてしまいます。
改札の代わりとなるのはホーム入り口付近やホーム上にあるカードリーダーで、ここでチェックインとチェックアウトを行います。
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チェックイン/アウト用のカードリーダー
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チェックイン忘れに気づいた場合、できるだけすぐに他の駅でチェックインしましょう。チェックインをせずに乗車し、車内やホームで時たま行われる抜き打ちチェックに引っかかると罰金を支払わなければなりません。
チェックアウトを忘れてしまった場合、チェックインしてから6時間は猶予があります。それまでにチェックアウトすれば問題ありませんが、6時間を越えてしまうと罰金になります。
ちなみに、本来の乗車代金に対して罰金を払いすぎていた場合、24時間以内に払い戻しを依頼することで差額を返してもらうことができます
3. メトロ(地下鉄)
都市内の移動や、都市から少し郊外へ移動するときに利用します。
地域によってメトロの運営会社が変わります。
NSとは違って改札がある駅が多い印象です。郊外に行くと改札がない駅もありますが、その場合はNS同様ホームなどにカードリーダーが設置されています。
ドアの開閉は自動ではなく、ドアについているボタンを押さないと開かないので、乗り降りの際は注意が必要です。
4. バス・トラム(路面電車)
◾️トラム(路面電車)
都市内や、都市中心部から少し離れた場所へと移動するときに便利です。
運賃はメトロ(地下鉄)よりは若干割安です。
◾️バス
基本的に、前から乗って後ろから降りるスタイル。
トラム・バス共に、乗り降りの際に車内にあるカードリーダーでチェックイン・アウトをする必要があります。日本と違い、降りるときにチェックアウトしなければならない点に注意です。
NSの場合と同じく、こちらも忘れてしまうと罰金になります。
5. ロッテルダムの交通事情
RET
ロッテルダム市内でメトロ・トラム・バスを運営しているのはRETという鉄道会社です。
メトロ・トラム・バス、どれもグレーと赤の車体が特徴的。
※アムステルダム市内ではGVB(アムステルダム市営交通会社)が運営
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RET メトロ
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RETはロッテルダム周辺地域もカバーしていて、厳密に言えば「ロッテルダム郊外」にあたるボクが住む地域にもメトロが通っています。移住手続きでお世話になる大使館や移民局などがあるデン・ハーグという町へも、RETが運営しているメトロで行くことができます。
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メトロ路線図
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*カラー:RET 路線図 / モノクロ:NS 路線図
7:00前後、18:00前後は通勤/退勤する人が多いため車内が混み合います。オランダでは自転車で移動する人が多く、さらに車社会でもあるため、週末は比較的空いている印象です。
RETについてはメトロを中心にまとめる予定ですが、参考までにトラムの路線図も載せておきます。
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トラム 路線図
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RETをより快適に利用するためには、アプリの利用もおすすめです。
目的地までのルート検索や、駅名を入力することで各駅の時刻表を確認することができます。アプリ内で乗車切符(※後に解説)の購入も可能です。
アプリのダウンロードはこちら▼
◾️サブスクサービス
RETには豊富な種類のサブスクサービスがあります。
移動頻度、サブスク期間、自分が住んでいる地域といった、様々な条件を加味して自分に適したサービスを選ぶことができます。
今回はシンプルで使い勝手の良い3つのサブスクサービスを紹介します。
⚠️サブスクの購入時にOV-chipkaartに記載のカード番号(1. OV-chipkaartのカード画像参照)の入力が求められます。
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表1. RET サブスクサービス
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◆ RET Monthly Discount 20%【運賃20%オフ】
◆ RET Monthly Discount 40%【運賃40%オフ】
メトロ・トラム・バスすべての乗車料金が1ヶ月間20% or 40%オフになります。
どちらのサービスを使えばよりおトクかは、移動の距離と頻度によって変わります。
参考までに、町の中心地Beurs(ブルス)駅までメトロで20分弱かかるボクのケースを紹介します。
〈往復料金〉
最寄り駅〜Beurs駅:€6.6
20%オフ:€5.28
40%オフ:€3.96
〈サブスク価格〉
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表2. 利用頻度ごとのメトロ乗車賃
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*表中の「通常料金」「20%オフ」「40%オフ」の金額は往復料金
*総額は「20%オフ」/「40%オフ」のサブスク利用時の往復料金にサブスク価格を加えた額
ボクのケースでは、メトロの利用が週に2回未満であればサブスクを買う必要はなく(割高になるので)、週に2回以上からはサブスクを利用した方がおトクになります。
週4回=月の半分以上メトロを利用するか否かが【20%オフ】と【40%オフ】の切り替えのラインですね。
◆ RET Monthly Subscription【定額乗り放題】
基本的に週に5日以上メトロを利用し、さらに町中ではトラムやバスを利用する場合には【定額乗り放題】がおすすめです。
しかしこちらは「表1.RET サブスクサービス」にある通り、サブスクの適用範囲を自分で決め、その範囲に応じた料金を支払うため、少々複雑です。
下記の画像は、RETのWebサイトに載っているRET Monthly
Subscriptionの価格表です。
*赤字部分:4〜18歳までの子ども・65歳以上の人向けの割引価格
表の左側にある【stars】に付く数字が大きくなるほどサブスク価格が高くなるのですが、この【stars】の仕組みが分かりづらく、調べるのにも考えるのにも時間がかかってかなり厄介でした。
このシステムを利用する上で必要になるのは出発地と目的地、そしてその2つの間に位置する地域を特定することです。
これだとちんぷんかんぷんだと思うので、以下の考え方に沿って解説していきます。
1. 出発駅のあるエリアを特定する
2. 到着駅のあるエリアを特定する
3. 1と2の間にある【中間エリア】を特定する
4. 1と2が【中間エリア】からどれだけ(何エリア分)離れているかを特定する
5. 4に応じた【stars】の数でサブスク購入
例えば
出発駅のあるエリア:〈5328〉
到着駅のあるエリア:〈5300〉
だとします。
このときの【中間エリア】は〈5314〉です。
この【中間エリア】に対して〈5328〉と〈5300〉は直に接しています。
この場合【中間エリア】から「1エリア分」隣接していると考えることができます。
上の【stars】の表と照らし合わせると、【中間エリア】+1エリア分隣接している場合は【2 stars】とみなされることが分かります。
ここまで来て、「【2 stars】のサブスクを買えばいいのだ」という判断ができます。
※中間エリアから全方向に隣接しているその他のエリア〈5316〉〈5318〉〈5324〉も自動的に【2 stars】のサブスク適用範囲に含まれます
【stars】の数が増えるごとに中間エリアを中心にサブスク適用範囲が広がっていきます。
(【中間エリア】から一回りずつ大きくなるイメージ)
エリアの詳細は、以下リンク内にある【Zone Map】からダウンロードできるPDFで確認できます。
◾️サブスク購入後の注意点
サブスクを利用するためには有効化が必要です。有効化はRETの券売機で行うことができます。
【有効化の方法】
1. 「collect order」を選択
2. OV-chipkaartをカード差し込み口に入れる
券売機以外でも、サービスポイントと呼ばれる場所でも有効化可能です。
サービスポイントの詳細は以下のリンクでチェックできます。
◾️その他(通常の乗車切符)
RETの利用が不定期の場合は、切符を買って利用することもできます。
駅にあるRETサービスカウンターなどで実物を購入する、もしくはRETのアプリやOV-chipkaartのWebサイトで電子チケットとしても購入可能です。
⚠️サービスカウンターで実物を買う場合は追加料金(€0.50)がかかります
アプリ上で購入した電子チケットは、購入してから24時間以内にアクティベーションが必要です。アプリ内の〈Ticket〉に表示されているチケットを選択し、必ずチェックイン前にアクティベーションを完了させましょう。
実物の切符にアクティベーションは必要ありません。最初のチェックインをする=改札・ホーム・乗り物内にあるカードリーダーにタッチするときに自動で行われます。
【切符の種類】
● 2時間券(€4):バス・トラム・メトロ2時間乗り放題
● 1日券(€10) :バストラム・メトロ1日乗り放題
1日券の場合、使用期限は購入日の各公共機関タイムテーブル最後の便まで。たとえ購入から24時間経っていなくても、購入日翌日の午前4時以降は使用不可。
例えば、2月14日の11時に券を買った場合、15日の11時まで使用可能かと言ったらそうではないということです。(15日の午前4時以降チケットは使用不可)
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また、公共機関ではありませんが、【フリックスバス】という、オランダ国内の遠出や他国への長距離移動をするにはもってこいの移動方法が存在します。公共機関を使った場合と比較したオランダ国内の移動方法を下記の記事にまとめています。
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