たかが微細、されど微細ーオランダ移住決定ー

じわっこい夏がやっと終わり、すべてがすっかり秋めいて、ふとしたときに感じる出処（でどころ）のわからない淋しさすらも愛おしいと思えるこの季節。

時よ止まれと毎年のように願いますが、そんなことは起きません。

大好きな秋は今年も冬にずんずん追い抜かれてしまいそうです。

あっという間に今年も終わりです。

これから一段と寒さを増していく、そんな今年の終わり。

ボクは日本よりもずっと寒い国に行くことにしました。

日本よりもずっと寒い国

それは、オランダです。

とはいえ、多くの人にとってオランダは、寒いあったかいとかそれ以前にあんまり具体的なイメージがわかない国かもしれません。

オランダ行きについて友人知人に伝えると、返ってくる答えは「マリファナが合法の国だよね」の一辺倒。「オランダってどこですか？」と言われることすらありました。

※正確に言えばオランダは「大麻合法国」ではないようです。大麻が「非違法化」されているだけであって、世界初の「大麻合法国」はマルタらしいです。

行き先をオランダに決めた理由

今は色々と並べることができるのですが、正直なところ決めたその瞬間に深い理由があったわけではありません。

日本の何もかもが嫌だ

生き辛い、どうしよう

そっか、出てしまえ

出てしまえ

どこに行こう、オランダは？

良さそうだな

よし、オランダにしよう

とこんな感じで、「日本が嫌だ」というかなりでかいスケールで好き嫌いの判断を下したので、解決法のスケールがそれはもうでっかくでっかくなってしまいました。

兎にも角にもまずは日本脱出

当時はこれがボクのすべてを支配していたようで、オランダ行きの決断は衝動と言えます。

ただこの衝動が案外強く、深いところからやってきていて、そして長引くタイプのものだったようです。日本脱出を決めたその日から、あらゆる手を使ってオランダの情報を集めました。何か新しい情報はないのかと、餌を探し求めて彷徨う飢餓状態の動物のごとく毎日目を血走らせていました。

そうやって調べ始めると、オランダという国の魅力をそこかしこから感じることとなります。

結果、順序が逆のような気はしますが、今ではオランダを選んでよかったと心から思います。

もちろんですが、その対象がなんであれ、日本と比べた時にマイナス面に分類されるようなこともあります。「日本の方がいいじゃん！」と。

反対や心配など、ボクの衝動に対するブレーキももちろんありました。個人的には、それが心配からくる言葉たちなのだと頭で分かっていても、どうしても自分の決意に対する否定に聞こえてしまうことがしんどくてたまらなかったなあと。

心配をしている本人に否定しているつもりなど毛頭ないからこそ、その言葉たちをおざなりに扱うことはできません。飲み下して、排出して、を繰り返しているうちに虚無感と罪悪感に襲われることが多々ありました。

より正確な言い方をするならば、しんどさというよりは、苛立ちかもしれません。

ただなんにせよ、全てが自分にとって都合の良いことなど有り得ないのであって、それが世界の摂理なのであって、そう考えると結局は捉え方次第なのだなという思いに至り、なーんだ、それなら別に慣れ親しんだ国から離れて生活することって大した負荷やしんどさではないな、それよりもっと確実で重要なことって、この世で平等に与えられているのは時間だということ、つまり誰しも人生は一回しか送れないわけだよな、そしてその人生はこれまで何千年と続いてきた宇宙や地球の時間と比べてなんて微細な一部なんだろう、たかが微細の範囲に生きる何十億分の一の人生なんて、どう生きようがいいよな、行っちまえ、と何らかの境地に達してしまった結果、オランダ行きを決行することになりました。

そして、名前のないこの境地に達した後は、「初めまして、今年オランダに行きます」くらいのライトさでオランダ行きのことを伝えるようになり、出会う人全てに衝撃を与える人間になります。

兎にも角にもまずは日本脱出

なんとも大雑把な考えからはじまる国外逃亡もといオランダ紀行

どうかあたたかい目で見守っていただければと思います。

オランダの魅力的なところ、それについてはまた次回書くことにします。